2017年 03月 05日
和声学:旋法和声
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総合目次



          旋 法 和 声

             前記
               直示的定義
               歴史的・実践的実在
               5線譜のスペース設定
               和音記号とコード・ネーム
               音源の必要性
               認識方法と実体概念
    
             和声学情報 [1]
 
             和声の変遷

               中世
               ルネッサンス
               バロック前期

             教会旋法と和声法

             教会旋法の推移

               教会 12 旋法
               教会 6 旋法
               教会 2 旋法
               旋法の多様化

             音程・和音表記

               音程表記法
               集積音程和音 表記法
               和音表記法
                 a, 通奏低音法
                 b. 和音記号
                 c. コード・ネーム

             音程の和声

                1. 平行法
                2. 初期の音程連結法
                3. オルガヌムにおける声部進行の比較
                4. メリスマ作法
                5. 対照的和声法
                6. リズム・モード
                7. 和音的効果
                8. 不協音程
                9. 協和的 3 度音程と 3 和音
               10. 13 世紀までの終止法
               11. 音程作法
               12. 強迫部の 3・6 度音程
               13. イゾリズムとリズムの複雑化
               14. 段落・終止法

             音程と3和音の和声

                1. フォーブルドン
                2. ポリフォニーとホモフォニー作法の対比
                3. 低音 5 度下行の導音カデンツ

             3和音の和声

                1. 模倣
                2. ホモフォニー
                3. 掛留と経過音
                4. 終止における完全 3 和音


             バロック前期の和声

                C.A.モンテヴェルディ




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:32 | 総合目次 | Comments(0)
2017年 03月 05日
前記 / 和声学
前記


 現在、日本における和声テキストのプログラムは、内容からみると両極端に別れる。一つは、検証分析の基本が確立していないため定義力が乏しく、その結果、正しいとされた公理は決して自明なものではあり得ず、限定された同一のものを一集合にまとめた特殊な抽象に帰することから、概念の定義と元の対象とが合致しなくなる。他は、本来的実体の本質をめぐる認識論を欠いた旧態ルールの切り貼りや丸写しをするだけで、新しいプログラムと名づけるには安易につくられていることが多い。諸対象の概念およびその規定に従う演習となると、バス課題の旋律が少し変わるというわずかの程度で、同じことの繰り返しでは学習意欲が減退し習得の動機と結びつかない。和声の概念定義の形成過程における具体化は、基礎理論としての実在検証、つまり、原則的には対象との合理的体験から得られる事実に基づいて行なわれ、しかも理論と論理的には事象現象間の関係と機能とに焦点を合わせ、実在する和声的事実の現実性と効用性を確保しようとするものであることが求められているのである。
 考えてみれば、これらの理論的前提条件は誰もが認める合理的な経験によって得られる共通感覚は常識として、また、現代の文化社会が受容する古典音楽の和声法は有効な伝統的・実践的存在として肯定されるのが自然な姿であろう。機能的な実体論への思考を確保しその実質的内実を説明するには、古典音楽という現存在の考察に基づく実証的研究が必要となる。従来のプログラムが両極端に走らざるを得なかったのはこの事情を物語る。
 ところで、その必要となる実証的研究から次のことが明らかになる。この研究においては古典音楽の考察という言葉が「和声学上の基礎的な指標」を意味しているということである。つまり、古典音楽とは、その存在とは何かを問いかける音楽的な思索であり、長い時代を経て現在なお高く評価されている音楽的な存在をさす。古典和声とは音楽的な思索がもたらす和声構造そのものである。したがって、音楽的な存在がもたらす和声構造の検証と分析は、説明的思惟の役に立つものであり、対象の合理的な多様性・変化性を排除するものではない。というのも、唯一性の概念を示すだけでは実践における現実的・具体的な全体的統一を説明することはできないからである。
 私たちは、何らかの存在と向き合いその事実を知るために学ぶのである。私たちは知ろうとする事実がどのようなものであるか、事実は私たちに対してどのように働きかけてくるのかを考察しようとする。それが私たちの和声学を学ぶ方向であり、その方向に沿うことが前提となってはじめて、事実の認識が可能になる。和声学を学ぶ目的をこのように定義すると、私たちは次のような命題によって「和声学のあり方」を見定めることができる。

     和声学:基本的前提
        :実体概念
        :一般原理
        :総合

 いわゆる和声に関する分類と組織にかかわるプログラムの構造化は「基本的前提・実体概念・一般原理」を基盤とする体系にほかならない。体系には様々なものがある。古典和声でいう旋法和声や調和声などは体系である。また音組織などは、多種多様な種類があり、全体は相互に関連し合ってひとつの統一体として体系をなしている。そして、ひとつの時代性、文化性のなかで、旋律進行・和音進行などの諸要素は、それを構成する個々のものが均衡を維持して存在している。いずれも体系である。
 そこで、検証と分析に基づく基本的前提、実在に関する実体概念と一般原理、対象全体を再生させようとする定義と演習においては、 理論書 _「大作曲家11人の和声法 上・下巻」をテキストに用いる。

     和声学基礎論としての実在検証

 その概念定義によれば、分類と組織にかかわる構造的機能的体系は、次の4項目となる。

     1. 旋法和声  _バロック前期の和声
     2. 調和声   _バロック・古典派の和声
     3. 拡張的調和声_ロマン派の和声
     
4. 混合和声  _印象派の和声

 この体系は、古典和声という実在した対象との実践的交渉、全体的な考察や聴取をもとにして「認識」され、なんらかの特徴・特質・原理によって「定義」される。その意味において、認識とは、対象の論証の過程の妥当性そのものを問題とするのが仕事である。そして、定義とは、概念に含まれるすべての属性を、明確に与えることである。とはいっても定義の基本的な問題は、その対象は現実性と効用性を確保しているものであり、一般的に実在し熟知されている必要がある。和声学が解明しようとしているのはまさにこういった可能性の活動状態である実在の本質性にほかならない。
 さて、プログラムを進める前に、このテキストについて多少説明を加えておくことにしよう。


 認識方法と実体概念

 伝統的な鍵盤・管弦楽・声楽・合唱という様々な演奏媒体から、自らの和声を引き出す人間的実現行為は、なにもかもがモニズムによって示されるものでなく、個々の時代に生きた大作曲家の実践における目的意識がそれぞれ異なるのは否定できない。つまり、"想像のかたち"はひとつではないことになる。大切なのは相対的な見方であって、人間が、経験として与えられた古典和声というネイティヴな世界から発せられる”多様性・変化性”を見い出すのである。その世界はその場の現実性に応じて幅があり、通常いくつもの選択肢に分かれている。
 音楽家や歴史家の関心を惹く、人間的で人生のありふれた一断面であるような例を挙げてみよう。たとえば、J.S.バッハのようにモーツァルトもベートーヴェンも生真面目な作曲家であると同時に、彼らは、当時の宗教と文化社会において、セレモニーのための委嘱作品、編曲活動、それに加え現代的・進歩的なハンマー・アクションのピアノを生み出すきっかけとなる即興演奏にも精力を注いだ。その音楽活動での和声の試みは、実験的な試行であったが、斬新である。しかも、「和声空間の機能的な可能性を縦横に発展させる」という未来の音楽思考とつながったクリエイティヴな実践であって、その様々な和声法は注目に値する。
 和声学を学ぶ楽しみは、新しい発見にあるのではないだろうか。未知の和声法を知ることに楽しみを見いだす人は少なくない。もし、古典音楽のなかに展開される創出活動のあり方が、その本質を欠いたもの、ルールに従っていないもの、正しくないもの、つまり、例外というのであれば、どんな原理も存在しないことになる。なぜなら、音楽文化とその再現活動のなかで感受されるもの、評論されるもの、規範とされるもの、それはやはり何らかの価値ある実在に違いないからである。それを考えると、体験から得られる対象の真の姿を学ぶためには、「歴史上および実践上の実在に適応する生きた認識方法」のあるところへ、そして人間が享有する自然な調感覚に蓄えられた「人間の素質や能力を発揮し活動させる実体概念」に立ち戻ってみる必要がある。
 とすれば、和声学について認識論的また検証的に論じようとする場合、古典和声の世界が私たちの日常的な経験と知識の多くを構成する「分析資料」「様式特性」「理論体系の基盤」であることは無視できない。私たちにとって歴史的・実践的実在の還元とは、人々が認めてきた和声における事象現象の起源・構造・妥当性を明らかにし、その対象に共通の相対的な性質を定義することで初めて可能になるのである。


 直示的定義

 理論構成の骨格となる定義の問題は重要である。それは、言葉による言語的定義と、具体的な譜例を指し示す定義がある。定義を行う場合の基本的な問題は、対象は一般的に熟知されている必要があり、認識根拠とその過程の有効性が求められる。しかし、言葉による解説という言語的定義は、そこにおいて用いられる言葉の定義からはじめ、その再定義を求められ、それを避けるために超越論や固定観念論的な思弁に現れた循環定義に陥る危険がある。和声現象の事実は言葉だけで説明しようとすれば破壊されてしまう。理論構成の前提条件となる対象の検証分析もない、さらにいえば、歴史的・実践的存在の譜例提示もない説明の意味は事実に背くものである。したがって、譜例提示を極端に嫌う公理設定は和声学の一般的なあり方としてはあり得ないのである。
 有効な理論書は、不明確な言葉による解説ではなく、できるかぎり多くのカタログ(実在という第1資料)を示すことで理論構成を行うのはこの点への配慮である。西洋においては大作曲家の創造的な「和声的実践の足跡」が譜例である。また、和声の再現を可能にし和声を「再認識可能な対象」にするのも譜例である。さらに、和声の世界を何世紀にもわたって「保存」し続けさせるのも譜例である。
 それを踏まえ、テキストは、一般的に熟知されている対象を直接指し示す譜例に基づいて構成されている。補いとして短い説明文を載せてあるが、いうまでもなく、和声概念の定義の役割を果たすほんものの解説者は「譜例」である。定義を行う場合の基本的な問題は、言葉による解説よりも、その概念に属する実在を一つづつ指してやることが有効であることもある。なぜなら、それは文字や記号で言い表わせない事象現象を伝える「ナビゲータ」であり、対象を説明する言葉がもつ不十分さを指摘してくれるからである。そして、専門家を志す人間の自己形成に必要な実証モデルとしての確かな資料や知識となるからである。このことから、音楽的なものと認識されている和声的な意味の多くも、私たちが音楽的に適応した結果得られた音楽的なシステムによるものと考えることができる。とすれば、和声を創造した大作曲家たちの音楽的なシステム、つまり和声システムとは、限定制約という概念規定から切り離してとらえられる可能性と、人間の音楽活動における現実性と有効性に結びついた歴史的・実践的実在である。それ以上に信頼できるサンプルがほかにあるだろうか?
 各セクションの課題には、本来的に西洋和声様式の本質性とよく融合する欧米諸国の民謡を載せてある。これらの民謡は、音楽歴史において創造された当の古典和声が大作曲家の実現行為によって現実化されるそれ以前にすでに何であったかを告げるものである。美術・建築の分野に言いかえれば「それが存在した起源的存在」となるものであるが、旋法和声や調和声などまさしく生成の場面に置き戻してはじめて理解し得る概念であろう。その「本質存在」となる輪郭・略図・概要、すなわち_実践的実在=譜例_を十分に吟味しながら「演習」を進める。もちろんそのステップ・アップのためには、抽出されたテーマとなる「響き=イメージ」を繰り返し聴くことのできる環境はどうしても欠かせない。明らかなことではあるが、まずは、私たちを取り巻く西洋古典音楽が創出した特定対象の和声現象を「事実の証明をもって認識する」ということから始め、その上で「古典和声を体験する」という “2つのモティベイション” があるなら、 現代の音楽文化社会と繋がりのある認識と実践力は自ずと備わる。
 音楽の世界において、古典のもとで音楽の源泉や和声の構造を左右しているものは、可能性の活動状態である人間の現実性がもつ「動的(ダイナミック)な実践(プレゼンス)」であると言われる。それゆえ、和声への関心を満たすためには、実在と疑似、説明と弁明、有用無用の区別をつけ、私たちもまたそれと同じ「多種多様(リアル)な構造(メカニズム)」を理解する必要がある。いいかえれば、人間の現実性すなわちその素質や能力を発揮し実際に活動させた大作曲家たちの「和声を想像する際に手がかりとした「聴感覚の実体」と「知識体系」が発見できる「直示的定義」である。


 歴史的・実践的実在

 演習と作曲という両者の意味は、必ずしもそれぞれが一つの機能をはたすとは限らない。その意味は、実践的課題の視点において多義的に、あるいは互いに境界線を引くことはできないものとしてはたらいて、しかも思惟可能な概念を獲得し得る古典的な実践であることは否定できないのだ。言い切ることのできない曖昧な論理で、実在が指し示す実践を演習から締め出すことは、人間の力動的な表現の大部分とその事実認識の機会を排除するものである。
 この人間的表現と事実認識の排除は対象の有用性をも否定する。そのために限定制約に規制される理論が、和声学の分野で発展を遂げられなかったことを考えると、私たちは新しい概念枠組みをつくり事実を眺め直すことを無視する理論の無秩序な状態が判断できる。さらに、他のどこにも向かおうとしない均一な書法演習の出口の不透明性を充分に知ることができる。理論のなかで事象現象が正確に類別され定義される状態が秩序で、種類の区別なく、みな同じように定義された状態が無秩序であることはいうまでもない。無秩序な状態を定義するのは簡単で、たった一言でよい。たとえば、進行は一つに限定され均一であるとか、それ以外は誤りであってすべて禁じられる、といえば十分である。ところが、均一でないと、その状況定義には多くの情報が必要になるのは、大作曲家の和声法を調べてみれば明らかである。
 「和声の世界の特徴と性質」は「人間の創出活動」によるものである。とすれば、私たちはここから人間的実現行為の問題に導かれることになるだろう。少なくとも事実考察によって習得した体験を様々な形で積み重ねていくことは、多くの芸術家・認識者・経験者・愛好家が歩んだ道をたどることと同じになり、人間が常に考えている本来的実体を知る、という目的に役立つものであるといえる。
 たしかに、人間というものは、生来、音楽のいろいろなサウンドに対して感性が働く人と、働かない人とに別れている。言い換えれば、ハーモニーというものに興味のある人と、興味のない人とに分れているというのである。和声の作成能力に、もって生まれたものが関与していることは誰もが知っている。だが生来といっても固定化され絶対化されたものではない。考察・分析の対象となる古典音楽の情報およびその資料データすなわち学習環境によって、和声への関心度は大いに変わるからである。実践の規範として、芸術作品の一般的事実に触れることができる環境と現実的な実践さえ耳にすることもできない環境とでは、その学習成果において「違い」が出てくるのは当然である。
 上述したように、学習者の作成能力は学習プロセスによる後天的なものであろう。とりわけ和声音楽の実践と美的なものの概念が、その起原以来いかに多種多様で変化する質性をもっていたかを考えれば、なおさらである。音楽芸術に関わり生きている人間が、現実体験や実践以前にまずはルールがあると論じることは、直接的な探究を放置した観念論を盲目的に受け入れた結果である。とすれば、人間の美的経験が歴史的に具体的・現実的に確立されていく芸術作品の実践的構造を知ることによって、私たちの想像力が広がることは明白である。つまり、学習者が固定観念の芽を摘み、思い込みという内向き思考をいかにして脱するか、また、その目的をどうしたら果たせるかは、専門分野における基本的知識、必然性のある合理的な概念的方向と視点、そして自らの美的体験を基盤にしたノーマルな学習方法を知っているかどうかなのである。
 さて、和声学はいったいどのような和声理論の概念枠組と結びついているのであろうか? このプログラムの目的はそういった概念枠組について何らかの手がかりとなるような考察を行おうとすることにある。そこで、まず最初に私たちが出発点としたいのは、人間の世界経験に根ざした対象の検証分析である。対象の検証分析は、私たちが生きている社会的かつ文化的な状況に依拠したものであり、音楽的な意味に関する判断と切り離せないものである。とするなら、和声学が概念化しようとするのは「実在的事象現象」と「検証分析的内容」がもつ事実、つまり「実在性」と実在性にとって音楽的な判断の基準となる「古典的対象」がもつ事実にほかならない。それを実在性に関する検証分析に基づき次の4項目に分けて示してある。


     1:「バロック前期_モンテヴェルディ」
     2:「バロック後期_J.S.バッハ古典派_モーツァルトベートーヴェン」
     3:「ロマン派_R.シューマンブラームス」
     4:「印象派_ドビュッシー」

 人間は根源的に実践的存在である。自己の芸術的構想を具象化する。つまり前時代が遺した諸条件の上に新たに歴史を創造していく存在である。その実践は、空間に向かって形のない音群の状態を切り抜け、それらを自らの自由意識にしたがって秩序だてていくのである。大作曲家の実践には秘密がある。その実践力は私たちの心を無条件にとらえる。作曲家が私たちの耳もとに提供しようとしているのは「解体と再生という想像物」そして「実在的な音楽芸術の楽しみ」にほかならない。とすれば、それらは伝統的継承性によって支えられた「生きている人間が体験する事象現象の動的な概念」の側にある。結局のところ彼等自身の独創的な様式によって、また、彼等が次世代的様式の構造化を助けることによって新しい概念枠組を生み出す確かな要因となっているのではないだろうか。
 ルールによって事実を証明することはできない。これは事実を構成する歴史的な実践的存在をことごとく示すことは不可能という理由からではない。そうではなく、実質的諸価値を包括した多種多様な古典和声のあり方は存在するが、そもそもルールによる絶対不可分な唯一正しい和声のあり方などというものは存在しないからである。言い換えるなら、20世紀後半の多くの音楽理論家が古典和声に関わる認識根拠とその過程を事実の考察に基づいて実証しているように、和声の起源以来、理論は歴史上のどのような時代においても、各時代にはそれなりの理論研究と情報社会の到来によってあらゆる方面に開かれた多元性を示すようになっていたからである。限界内にとどまる規則主義者の思考は、歴史に存在するコスモス全体においてはすべての人間的な言説、すべての歴史的存在を貫いている人間的な思惟を中断するものにすぎない。

     古典和声の検証分析_「実際に機能している和声現象」
              _「実体概念の本質的定義」
              _「分析領域の拡大」

     分析状況
     可能性の発想
     対象・論述・命題

 対象の確かな検証と分別のある概念化を望むのは、事実を直視したいとする学習者に共通した願いであろう。その限定された象徴的概念を考え直すことは和声学にそのまま当てはまる。和声の創造は規則禁則というドグマを拒絶しながら、伝統の継承と革新的方法に関心を向け解体と再生をテーマにする。したがって、そのサンプリングは芸術的媒体_それが記録された歴史的存在_に関わりのある専門知識の基礎となる。また、事実認識や実践的課題のためのモデルとしてもっとも価値があるのは、現象の現実的な法則を見い出し、私たちのさまざまな精神的・身体的状況に相対的な表出の発見を可能にしてくれるものである。だが、事実の発見に出会うには、豊かな発想とそれを見逃さない注意深さが要る。

 _practice_
 理論書は3つの機能を備えたプロットに基づいて編集してある。 まず、単元名に記したテーマとなる響きを「 ① 聴く探す_ follo-w-up 」から始める。つまり、和声は音程と和音でつくられた響きであるから、直接自分の耳で確かめることであり、そうすることは和声学にとって無視することのできないトレイニングとなる。つぎに、その響きも数多くあるなかのひとつと考え、他の多様で変化のある事象現象に「② 近づく_approach」。それらは、実在性をもとにしていつでも使用可能な状態で目の前に存在する表出法であることを、また、日常的なコンサートの演目・インターネット上の音楽配信などが示すように、現代の文化社会において人間が享有する共通感覚であることを認識する。/バロック・古典派においては起源的な旋法和声と動的で開放的な調和声を/ロマン派・印象派において拡張された調システムと混合和声の新しいコンテクストを感じる/等々(作曲家別:名曲および参考曲 参照)。__①②の準備が整ったら、いよいよ「③ 実践_ practice」である。自由な思考活動とともに、可能性がさらに開かれた確かな響き「歴史的・実践的実在(譜例)」を理論・鍵盤演習に応用してみよう。

 _rough sketch_
 演習において重要なことは、先行課程において把握した原理と知識をそれ以降の演習に引き続き用いる機転である。そして、演習例がけして一つだけではあり得ないということ、また、理論における基本的前提および概念的方向は、私たちの感覚・感性と経験的世界に分かち難く結びついていること、つまり、その音楽的で合理的な概念は古典和声における構造特性の検証データに基づいて構成されているということである。さらなる演習例として、システムの効用性を再確認するためにも随所に_ Booth「 ラフ・スケッチ rough sketch 」_を設定した。
 そこには、テキストの掲載された譜例のほかに、大作曲家の代表的な作品、たとえばバロック_モンテヴェルディの演習であるなら「Madrigals」「Orfeo」「L’ incoronazione di Poppea」、J.S.バッハであれば「Suiten」「Brandenbrugishe Konzerte」「M-atthäus Passion」、印象派_ドビュッシーにおいては「Preludes」「Estampes」に試みられた和声法を、テーマに応じて示してあるので参考にしてほしい。


 5線譜の設定

 概念定義の基盤となる譜例は、すべて、西洋音楽における芸術作品から引用された和声システムであり、そのコンテンツが和声学の「出発点」となる。いわば、それらは私たちを取り巻く音楽的な出来事の核心にあるような「実践和声」である。概念の形成過程における多種多様な検証分析は、思考の概念的方向を指し示してくれる多くの直接的なコンポーネントとの意思疎通をはかろうとする人にとっては、どうしても体験する必要がある関門であろう。さらに大事なことは、そうした状況に正面から取り組み、いかにして「可能性のある実在」に到達できるかを考え、学習者が積極的に自分のための和声についての概念形成ができたら、と願っている。
 私たちは情報を記録するという意味ではコピーやペーストで用が足りる生活をしていて、「楽譜を書く」という習慣からつい離れてしまいがちであるが、楽譜を読むという音楽人 2000年の蓄積はおろそかにできない。楽譜を書くことは、対象とする概念の形成過程で、和声の世界全体の特徴と性質を生成している事象現象を検証することを目的としている。得られたデータは、様式特性や概念定義の再生、演習内容の効用性の向上、他の楽曲の分析といったことに役立てられる。その過程は、かならず楽譜をともなうものである。この楽譜は認識根拠とその過程の「眼」と「耳」として機能する。したがって、学習者は、実際に知り得た対象についての「情報の記録(検証・分析・理論)」と「諸活動(事実認識・概念形成・演習)」そして「自己表出という究極の目的から和声を聴くときの手がかり」となる事象現象すべてを「リアルタイム」で「連動」させるためには、ごく近いところに自筆のノートが必要になる。それが5線譜スペースの設定理由である。


 和音記号とコード・ネーム

 記号が本来もつ特徴とは、両方の間に入って仲立ちをするものである。認識において、記号のもつ役割は、対象を別のもので認識する手段である。知ることは何かについて知ることであり、対象を必要とし、対象についてある判断を形成するための概念化を前提としている。記号はその代わりをするものにほかならない。ところで、新しい概念枠組から今までの知見を眺め直すことのできない古い知識にとらわれ、バロック音楽においては和音の意識はなかったという誤った歴史観、さらに、そのような記号がまだ存在していない16・17世紀に創出された音楽の検証や分析において、それを用いることは無意味であるという、基本的意図がうまく読みとれない日本独特な俗説と幼稚な考えがあった。
 しかし、記号は対象を通して多様な指示関係のネットワークを成す解釈項へと連鎖していく。それゆえ、世界各国に共通した「ヨーロッパ方式の伝統的な和音記号」と「欧米人が現代において考案したコード・ネーム」は、対象の明確な ID となって実証的な理論上に登場してくるものであり、示唆的なものである。その表記(シンボライズ)は決して無意味なことではないのである。


 音源の必要性

 和声作成のために、規則禁則を覚えるのに何ヶ月もの時間をかける前に、もっと効率的に時間を管理し、作成能力をのばす方法を考えてもいいのではないだろうか。ルール遵守能力評価を得ようと焦ってエクササイズ・ヴォリュームの矮小な、しかも変化が苦手な規則禁則(和声学の体系としての無矛盾性の追究が主な内容である”上級課程”では捨ててしまうもの)に熱中していては、和声は逃げるばかりである。事象や現象に関する情報を得るために和声を聴く、という冷静な姿勢で臨めば、作成能力は自然に身についてくるものなのである。
 和声を聴く_バロック音楽の旋法和声を_マドリガルやコラールで西洋の古典和声を感じる_モンテヴェルディの和声で旋法性を聴く_譜例を見ながら聴くバッハのコラール_その調和声の進化を_古典派和声における開放的な人間の思惟選択を学ぶ_ベートーヴェンとロマン派シューマンの和声はどこが違うのか_なぜ日本人はその違いが判らないのか_印象派の音楽から混合和声を聴いてハーモニー・スパンを広げる。その上で、「Web -音楽配信」を活用すればそれを通じてより多くの情報を得ることが可能になる。そのような問題意識をもつのは、いくら早くても早すぎるということはない。したがって CDや音楽配信という媒体を介して和声を聴くに際しても、終止形だけを聴くのではなく、和音変化や同形反復のリズム、用いられた和音の種類、段落・終止における現象の違いをすべて吸収してみよう、という目標がないなら学習の基本となる一般原理の修得はできないだろう。
 ところで、「初学者にとって解説が少ないと演習ができない」という声を耳にするが、それは大切なことと、得ることが少ないこととが反対になる考えではないだろうか? このように、教育現場における和声学習において個々の感受能力は軽く見られがちである。相手は目には見えない和声、対象となるものは旋律と和音、その見えないことで想像は膨らむ。響きを言葉にした語学的な記述を追い過ぎると自然な聴感覚は鈍る。いずれにせよ、和声学の基本的な演習は実際の音の助けなしでは困難である。より正確にいうなら、曖昧な言葉による解説ではなく、現実に存在する事象現象が音符で記された直示定義として指し示される確かな譜例を、何らかの形で示してくれる「何らかの音源がなければ」和声感覚を身につけることは不可能である。
 基礎演習において必要なことは、悩まず実在する和声を聴き続けることである。名曲などを繰り返し聴き、音楽の歴史において人類が蓄積した「基礎的想像力」、過去に経験した事象現象を思い起こす「再生的想像力」、さらには新しい事象現象を思い浮かべ固定観念から私たちを解放する「創造的想像力」の原点に直接触れることである。




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:30 | 前記 | Comments(0)
2017年 03月 05日
和声学情報 (1) / 和声学:旋法和声
和声学情報 [1]


歴史的・実践的実在

 人間的能動性を踏まえた和声の実践は相対的であった。中世・ルネッサンス、バロック・古典派・ロマン派・印象派の音楽、あるいは複調・多調・ 12 音技法よる無調音楽、そして現代的ジャズ・ポップス・コンピュータの音楽であれ、前時代が遺した多様を生み出す諸条件の上に「未だ実現されていない新たな歴史の創造という構造」をもっている。つまり、作曲家のコミュニケーションが試みる創出活動は想像的な人間行為であるがゆえにである。ところが、規則禁則論はとりわけ和声学の楽曲分析の分野では無惨にも崩壊してしまった。規則は「元の対象と概念の不一致」という失敗した概念規定を変えるチャンスがあったにもかかわらず、そこから抜け出すことができなかった。そしてこれが実証的研究を生み出す結果にもつながったのである。その研究によって分析と演習の分野に、生きた存在概念を得るための「検証分析の場」と、現存在に向けられた「自然な対話」が復活した。たとえば、「バロック・J.S.バッハが表出する和声構造(存在概念)」を知るということは、特殊な唯一の概念に帰することなく、実践的課題をのり越えるための「人間的実現行為(音楽活動)の可能性(存在的機能)」を知ることなのである。そして、このような「実体論的レヴェル分析(確実性)にその手段の大部分を与えてくれるものこそ、元の対象に対する「還元的概念認識(明証性)」にほかならない。
 第1に、和声の一般的な表出レヴェルを知識として身につけるには、どのようにしたらよいのであろうか? 私たちが実際にその存在を捉えておく必要のあるものは、こんなときにも、レッスン・ルームにおいて提示される課題曲やコンサート・ステージで演目として鳴り響いている楽曲ではないだろうか? そのリストやプログラムをひも解き、まず、実践の事実として存在している概念と役に立つ使い道を洞察するためにも、多くのものの中から特にそれと指定した認識可能な対象全体を意識のなかに再現する必要がある。人々が音楽的に歌い奏し自由に語り継いできた事象現象というものは、さまざまに考えられた思考選択と、それぞれが違って考えられる立場を生み出すことができる存在、といわれるが、これらは和声学における理論構成の骨格となるものであり、概念形成の出発点となる対象であるにちがいない。
 第2に、何を選択して何をどう学ぶのか、そのためには何を検証して何をどう分析するのか? これを決めるのはきわめて重要である。大作曲家が表出する響きというものは、他の作曲家にも似たようなものがあるにしてもそれらは独自のものであることが分かる。もとになる材料として扱っている音や和音は同じでも、音の進め方や和音の並べ方はそれぞれに特徴がある。その作曲家でなければできない独自性_、各時代の進展的な思考に導かれた現代性_、その時代にまで継承された開放的な伝統性_と向き合う芸術家としての人間的実現行為に関わるものである。
 考えてみれば、自分の部屋にいて楽譜を見ながら楽曲演奏のあれこれを考えるのも、音楽配信サイトを検索しながらどれにしようかと思案するのも、心のなかにつぎつぎと広がるイメージや時間や空間があるからである。聴いているだけなのに、自分がそこに加わって身体を動かしたり興奮したりするのは、実際に作曲家が実践するのと同じようなリアリティに近づいているからである。感動する人は感動できる人であり、工夫する人は工夫のできる人である。となれば、いまや指導者は、和声学の理論と演習の習得には、一般的に3つの「能力」が問われていると考える。「関心のもてる対象についての検証と分析」、「事実にいっそう近づくための実在の概念認識」、そして実在的な和声現象に慣れるために行う「可能性の活動状態が確保できる演習」であると観ている。
 私たち人間は、旋律や和音やリズムすなわち多様な響きを覚えるとき、価値ある古典音楽の鑑賞、いわゆる自然な感覚的聴取によって呼び起こされる日常的によく聴いている存在概念(聴覚的に慨然性の高い事象現象)を感じることから始めている。しかし、限定制約を基本的基準とする傾向が強い規則禁則論、あるいは、新しい和声を謳う定義の修正転換もない疑似モデルの概念定義からの説明では、限定制約を俯瞰することもなく、依然として規則禁則を前提にしてそれを覚えることから始めるという暗記が中心になる。耳から入ってくる実際の響きが、何らかの実践的関心を満たし、本質的な概念の形成には役に立つというのであるが、規則禁則を覚えることから入るために、規則禁則がほんとうに存在したのかどうかを問われた場合、都合のわるい聴こえてくるものの諸事実はすべて意図的に排除されてしまうのである。演習においても検証分析の不十分なルールが与えられることが多く、事実の直接的な還元基準についてはほとんど提供できていない。したがって、そのようなほとんど固定化された概念規定によって、概念の形成過程における様々な抽象が苦手という思考を停止した人が少なくないのである。このように、ものごとを成し遂げる力がとぼしいと感じられる理由として、昔から人々に高く評価されている歴史上の芸術作品(リアル・ハーモニー)を聴く、一歩進んで個々の譜例(ポジティヴ・リスト)を調べる、という基礎訓練が全く行われていないことの他に、現存する和声そのものをとり入れる道筋、つまり、和声学的環境において音程・和音を素材にして生成される「場」に興味をもち、そこに立ちあらわれる存在を「耳」から投入し、その存在概念を明らかにする「考察」があまりにも少ないということがあげられる。
 ところでいま問題なのは、概念定義において、共鳴論を逸脱した単なる数的な公理的関数の乱用、あるいは規則禁則によって無視されてしまう実在検証の重要性はいまだに回復していないことである。そうした原因は指導者たちの盲信や誤解などによるものでないことは、幾多の教育論文が明らかにしている。むしろ指導者たちはつねにこの矛盾に対する問いを問い続けてきたが、それに的確な答えが与えられたことはない。演習においても、「伝統性」を意味する現存在にもとづく一般的原理・形式を容易に肯定しなかったり、素質や能力を発揮する人間の現実性に相伴って発生する「感覚」を不正とする判断があることが知られている。当然そのような限定状況に対して、プロの音楽家を目指そうとする若い世代ほど拒否反応は強い。では、和声学的環境は、事態回復の能力に絶望的なのであろうか。もしこの問いに明確な答えが得られるならば、そして、もし相対的な和声の世界において根本的に動かしていたものが何であるかを理解することができるならば、いかなる人も疑い得ぬ認識根拠となる直接的で確実な対象がどこかにあって、そこに関心をもっていれば十分知ることはできるという人間の自然的な考えが否定されたとしても、というより、それは自明で分かりきったこと、そもそもあり得ないものと規定され、たとえ消されたとしても、諦めることはなさそうである。
 大作曲家の和声法は、自発的な人間的実践である「和声表出」が、人間に与えられた根源的な意志決定や思考と選択にもとづいておこなわれることを、また、歴史的な認識をともなう伝統性と実践的な可能性を提供してくれる存在概念を受け継ぎながら、そこから自分のつくりだすサウンド・テクニックが、満足のいくものとなるように工夫することの面白さを伝えている。つまり、自らをどのような方法で能動化し、どのような思考と選択をおこない、どのような和声の世界を表出するかは、かつて和声の世界が存在し和声の世界として現れるのを可能にした自由にゆだねられているということである。むろん非本来的な規則禁則によって限定されるということではない。それは、伝統性と現実性を既知の要素に、すなわち、その対象と他の対象およびその時代と他の時代の対象とに共通な継承された要素に帰することに他ならない。私たちの感覚は、つねに合理的で可能性の活動状態をたっぷり聴かせてくれる創造的想像力に引きつけられる。とすれば、現存在である和声の事実を和声学的な事実として取りあつかう現代の理論家たちが考えているように、「和声を学ぶ」ということは、人間の自由が活動する「歴史的・実践的実在」の門をくぐりぬけ、その門を越えて自由の活動とともに歩んだ作曲家たちのいるところに身を置くということなのである。




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:28 | 和声学情報 [1] | Comments(0)
2017年 03月 05日
和声の変遷 / 和声学:旋法和声
和声の変遷


  和声の変遷 p.10 〜11

 歴史家がいう「和声の歴史」とは、いっさいの超越論や枠組みを超えて、多様性の中に存在している「一般的に熟知されている和声の世界の総体」を指す。和声学において、和声の歴史に関する考察と分析による実体概念の本質的規定が理論構成のための基本的基準となる。古典という実在と古典という言葉の意味の論点をつなげることは、また、そのさまざまな和声の様相をたどること、古典の和声を知ること、そして共有することは、そうした対象を再生することでもある。したがって、和声についての事実に基づく情報といわれるものは、特定対象を存在した通りに保存しておく必要のあるものであって、多種多様な生成の中から検証を通じて歴史的・実践的事実によって構成されたものである。とすれば、そこで、理論構成はどのような基本的基準によってなされるのか、という対象の認識方法に関する質性と、その価値が多様を通してどのような普遍妥当性を真に確保できるのか、という「和声の歴史的経緯」に関する実証性が問題になる。
 では、以下その歴史を事実に基づいて考察することにしよう。


    Direction1) p.10 〜p.11 (見開き) 「和声の変遷」を見る。

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    D2) 中世から印象派までの、「年代」と「時代様式」の名称を順序立てて覚えておこう。

            時代様式は7つの名称

            教会旋法の歴史的な3 種の区分とその多様化

    Q1) 800〜1900 年代における西洋古典音楽の「根源的音組織」とは何を指すのか?

            長・短音階ではないことは明らかである

    D3) 音組織における教会旋法の時代によって変わっていく数的変化を指摘しなさい。

            西洋音楽の歴史には多数の音組織の体系が存在した

    Q2)  変化音_ B♭ ・F♯_ が文献上に現われたのは、いつ頃か? 

            左ページ、音組織
                   ↓
                  変化音_の項、最上枠

               その譜例と理論書名は、p.25 下段


    [ N. B. ]

         グレゴリオ聖歌における変化音_ B♭:
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    D4) 教会 12 旋法の名称に注目。
    D5) 和声の根元的な音組織として定位されている_教会 12 旋法_がどのように変容していく
       のか。その概要を考察しなさい。
    D6) 変容する教会 12 旋法の歴史観は、古典和声学という理論体系(現実態)の「骨格」とな
       るものである。

            教会12旋法
             ↓

    D7)  20 世紀において、和声理論に生じた新しい展開_「伝統的な音組織の復活とその多様化」           _を支える旋法と各音階の名称を覚えよう。


  |音程・和音|
    ・
    ・



    D1) 5種の時代様式の名称は「太字」で示してある。

    Q1) 9世紀から17世紀までの和声様式を何と呼ぶのか?

    D2) 音程・和音_の歴史的な経緯をたどってみる。

              音程
              ↓

    Q2) 和声現象において3和音素材が生成されたのは何世紀頃か?

              音程
              ↓
           ▶  
音程と3和音
              ↓
              3和音
              ↓
              3和音と7の和音              
              ↓
              和音構成法の多様化


    D3) 「3度・6度」の用法変化に注意。

    Q4) 15c において「3和音」は、いかなる音程の集積と捉えられていたのか?
 
    Q5) 「導音化」の概念は、どのような時代様式・和声形態において創出されたのか?

    D4) 「和音性質変化」とは、

            たとえば、短 3 和音を長 3 和音に変化させるという和声
            法(志向)などによっても、新たな和音素材が準備されて
            いることを意味する。

          長3和音化

          p.117 譜例 76.
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          短3和音化

          p.123 譜例 78.
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          減3和音化

          p.127 譜例 80.
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          増3和音化

          p.131 譜例 81.
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    D5) 音組織_「変化音」そして音程・和音_「変化和音」の発展的構想である「根音変化和音」
       という素材が、古典派和声においても多様な構造特性の進化の要因となっていたことをその
       考察と分析によって知るであろう。和声の世界の、根元的で伝統的な和音素材に注目。


  |和声作法| p.11
    ・
    ・



    フォーブルドン

    Q) 15世紀の特徴ある和声作法とは何か?

    [ N. B. 1 ]


             p.46 譜例 30. 実線の括弧└──────┘
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             p.47 譜例 31.
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                 譜例 32.
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    半音階法

    Q) 「半音階法」は西洋音楽の歴史において連綿と続いた概念である。その拡張は19世紀末
      の和声音楽ではとりわけ特徴的な構造特性であったが、それ以前に半音法が盛んに実践さ
      れた歴史があった。それはいつの時代か?

    [ N. B. 2 ]

           考察と分析:

             p.60  譜例 54.
             p.282 譜例 147 


    ポリフォニーとホモフォニー

ホモフォニーの実在性

       ホモフォニーの実践的事実と実在性は18 -19 世紀だけに限らた和声様式ではなく、西
      洋和声音楽におけるどのような時代にも存在した。和声様式のこうした西洋的な理解の仕
      方は、たしかに、大作曲家の発想を解きほぐしてみれば明らかにそこに存在していたもの
      であり、決して強引でも筋違いでもないのである。してみれば「ポリフォニー」とか「ホ
      モフォニー」と言われる場合、その時代区分を単に2つに区分してそう難しく考える必要
      はなさそうである。
       その事実を確認してみよう。

      「ホモフォニー」はバロック・古典派時代よりもはるか以前に存在した和声様式である。
      その和音的効果やポリフォニーに対して相対的な構造特性はすでにどの時代に生成されて
      いたのかを、図表において追跡すると、

           中世 ● 和音効果 p.31
           15c ● ポリフォニーとホモフォニー p.49
           16c ● ホモフォニー p.58

        にその事実が認められる。

    [ N. B. 3 ]

           考察と分析:

             p.31 譜例 12.
             p.49 譜例 33. 
             p.58 譜例 45. 47. 48.



    18 世紀

    D) 時代様式_バロック後期・古典派における和声作法の概念を指摘しな
      さい。

    19 世紀

    D) 時代様式_ロマン派における和声作法の概念の名称を引き出してみよ
      う。

    20 世紀

    D) 時代様式_印象派の和声作法において20世紀の音楽を象徴する構造特性と作法の項目
      に注目。


  |段落・終止法| p.11
    ・
    ・


      終止における低音進行は,様々な形態がある:

    D1) 低音2度上行の終止の実践を把握しなさい。

            中世・ルネッサンスの枠
             ↓
            低音2度上行
             ↓
            例 _ p.26, 27, 28, 32, 34
             
    D2) 低音2度下行の終止および5度下行のカデンツ(終止)を参照しなさ
       い。

             ↓

            * 低音2度下行
               ↓
              例 _ p.32, 34, 35, 40, 42

            * 低音5度下行
               ↓
              例 _ p.49, 50, 51, 52

    Q) 終止において完全3和音が用いられるようになったのは何世紀頃か? 
      具体的に年代と時代様式を指摘し、それを実践した作曲家は誰か?
   
             右ページ、段落・終止法_の項
             例 _ 譜例 52. 53. 54. 62.〜71.


    D3) 段落・終止法に関連する和声学用語をチェックし、索引 p.490 でも確認する。
    D4) 歴史上の「導音カデンツとその転移」についての各時代様式における様相を考察しな
       さい。


  |作曲家 *|
    ・
    ・

    Q) 作曲家イザーク、ジョスカン、パレストリーナが活躍したのはいつの時代か?

    D) 作曲家C.モンテヴェルディ、J.S.バッハが活躍した年代はいつか、またその時代様式を
      答えなさい。

             左ページ、|年代||時代様式|_の項
             右ページ、|作曲家 *|




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:21 |  和声の変遷 | Comments(0)
2017年 03月 05日
教会旋法と和声法 / 和声学:旋法和声
教会旋法と和声法


  教会旋法と和声法 p.12 〜 p.13


 西洋古典音楽の音組織の問題について、問題本来の広範な領域を視野にとり入れるためには、音素材をまとめるための構成原理いわゆる旋法を考えることが是非とも必要である。旋法とは、単なる音階的な概念である以前に、音楽存在の場の基本構造を決定づける要素にほかならない。知覚される多様な性質を担い、多様に変化する音楽の根底にあって、音楽がそれなしには考えられないような概念である。さしあたり、西洋古典音楽における「和声法」の性質的規定を総合する音組織_「教会旋法」_の考察からはじめよう。


  「教会旋法と和声法」の要旨:

         前半部分

          音素材をまとめるための構成原理
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           中世キリスト教音楽の重要な基盤
           8 種類の教会旋法
           12 教会旋法
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          フォーブルドン

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    Direction1) 下記のグレゴリオ聖歌を歌ってみよう。

        グレゴリオ聖歌

        例


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    D2) この Salve Regina の旋律はドリア(教会)調である。p.14 参照。

    D3) 旋法の名称は、ギリシャ時代の、地中海、エーゲ海、黒海沿岸に実在した国・地方・民
       族名あるいは建築様式名にちなんで付けられたものである。海を介在して一つの世界を
       つくり上げた「古代地中海文明」に関する地図を見ながら、その所在を確かめるのも楽
       しい。その地図は「古代美術書」に掲載されている。



    D4) 第 1 旋法_ドリアとフリギアのトニックとドミナントの音程関係の違いを確認。
    D5) 15行目「各旋法には、......... グレゴりオ聖歌の教会調は分類される」に注意。

         つぎのことが判る:
         第1旋法_ドリアと第 8 旋法_ヒポミクソリディアの属性の違い
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    D6)  p.14 の楽譜で第 3 旋法_フリギアと第 10 旋法_ヒポエオリアを比較すると、

            D5)の両旋法におけるTonicとdom.の支配音と音程関係
            の違いと同様に、音階上の音域は同じであるが、フリギ
            アとヒポエオリア旋法の属性は異なる



         中間部分

           3 和音の和声
          旋法和声
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          教会調
          教会旋法における大きな転機

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    D1) 「旋律的認識における旋法性」が 「和音的認識における3 和音の和声」の中に継承さ
       れたことは、西洋音楽の構造特性に関する歴然たる歴史的事実なのである。
    D2) 「教会旋法の大きな転機とは何か」を把握しておこう。 



         後半部分

          段落・終止法および転調法
          旋法和声の存続   
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          拡張的調和声
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          旋法作法の復活
          教会 7 旋法
          異種機構との混合

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    D1)  18 世紀の和声構造_フーガやソナタ_は「どのような遺産を継承しながら成長して
       いったのか」をもう一度整理してみる。

    D2)  文末にある、「以後 20 世紀の和声法に対する探究の先駆けとなった新しい調概念」
       は、当然、学術に関わる人間に必要な「専門知識」といえよう。

    D3)  p.13 には教会旋法とそれが影響を及ぼした和声法に関する音楽用語(=和声用語)
       を歴史的な経緯に沿って示してある。


                < 和声学に関する文献 >

     16世紀

        ・ Glareanus ; 「 Dodecachordon 12弦法 」
           音組織における旧旋法概念_8旋法を、12旋法とする

        ・ Zarlino, Gioseffo ; 「 Le institution harmoniche 和声法教程 」
           協和和音の単一性の原則

        ・ Salinas, Francisco de ; 「 De musica libri septem 音楽論 」
           すでに1オクターヴの12等分割法を提唱


     17世紀

        ・ Agazzari, Agostino ; 「 Del sonare sopra il basso 通奏低音の奏法 」
           後世に大きな影響を与えた通奏低音の奏法に関する論考

        ・ Werckmeister, Andreas ; 「 Musikalishe Temperatur 音楽的な平均率 」
           J.S.Bachが採用した12等分割法_平均率理論





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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:19 |  教会旋法と和声法 | Comments(0)
2017年 03月 05日
教会旋法の推移 / 和声学:旋法和声
教会旋法の推移


  教会旋法の推移 p.14 〜15


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  理論「教会旋法の推移」の概要:

  | 時代様式 | _ 中世( 9 世紀)〜印象派( 20 世紀)

  | 音楽の様相 | _ グレゴリオ聖歌〜和音構成法の多様化

            中世・ルネッサンスにおける旋律的認識と和音的認識の両立

                         → Polyphony →
               Monophony <
                         →  Homophony →

  | 旋法性の比較 | _ 時代によって旋法の個数が異なる

            中世 8 旋法(教会 12 旋法)は時代経過とともに減少するが
            現代 20 世紀においてそのすべてが復活する

                旋法を支配するトニックとドミナントの音程関係
                 
                  ドリア _5度関係     ヒポドリア _3度関係
                  フリギア_6度       ヒポフリギア_4度
                   ・              ・ 
                   ・              ・

  | 旋法性の比較 | _ 時代によって旋法の個数が異なる

            中世 8 旋法(教会 12 旋法)は時代経過とともに減少するが
            現代20世紀においてそのすべてが復活する

                旋法を支配するトニックとドミナントの音程関係
                 
                  ドリア _5度関係     ヒポドリア _3度関係
                  フリギア_6度       ヒポフリギア_4度
                   ・              ・ 
                   ・              ・


    D) 中世・教会 12 旋法から 18 世紀・教会 2 旋法の集約を経て、現代における「旋法の
      多様化」にいたる経緯をたどってみよう。

          左ページ、|中世|ルネッサンス|バロック前期|               
                p.25   p.46    p.55

 
          右ページ、|バロック後期・古典派|ロマン派|印象派|_の経緯
                 p.304     下巻→

 
    教会 12 旋法

       ● 中世8旋法に、グラレアーヌス(16c)が追認した・・・・・

    D1) 教会 12 旋法の項、下段_記号 * を読みなさい。

    D2) 教会 12 旋法と教会 8 旋法の名称に関する認識根拠については、次に示してある。

            左ページ、旋法性の比較_の項、教会 12 旋法_*記号の説明

    D3) 教会 8 旋法の名称を答えなさい。

            左ページ、教会 12 旋法_の項、Ⅰ〜Ⅷ

    D4) 中世-教会 12 旋法におけるそれぞれの tonic と dominant の音程関係とその違いを指
       摘しなさい。

            左ページ、教会 12 旋法_の項、Ⅰ〜Ⅻ _における白音符
                / 下方がtonic、上方がdom.

    D5) カテゴリ_序章 - 教会旋法と和声法_に掲載されているグレゴリオ聖歌の旋律と旋法を
       もう一度確かめよう。
    D6) 譜例 9. メリスマ声部の旋法名を答えなさい。
    D7) 譜例 15.に示された音程和声の旋法(音組織)の分析を試みる。


    教会 6 旋法

    D) ルネッサンス・バロック・古典派・ロマン派時代のtonicとdominantの音程関係を確認
      しよう。

            左ページ、教会 6 旋法_の項


    教会 2 旋法

    D) 説明文にある集約、転化の「語意」を把握してその和声構造に関わる伝統的な音楽構
      造理論_「音組織の歴史的経緯」を理解しなさい。

            右ページ 記号 →の方向


    旋法の多様化

    D) 教会旋法の中で 20 世紀_印象派音楽以前には用いられなかった旋法がある。

            右ページ、旋法の多様化_の項、下から2番目の旋法

    Question1) ところで、学習を始めるにあたって「音組織_長・短音階」の原理を知る必
           要がある。それらは音楽の歴史の中でどのようにして生成されたのか?

            右ページの左枠

            より詳しくは、

            
p.304, 305_ バロック後期の和声_バッハ_長旋法・短旋法 

    Q2)  以上、「和声の変遷 _ p.10,11」「教会旋法と和声法 _ p.12,13」、「教会旋法の
       推移_p.14,15」という音楽理論史概論を考察すると、西洋音楽の構成原理となる音
       組織は長・短音階ではないことが判る。では、もしあなたが西洋音楽の和声の原理と
       各様式を学びたいと考えているのであれば、その出発点となる構成原理つまり和声の
       起源的な音組織を知る必要があるだろう。それは何か?




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:18 |  教会旋法の推移 | Comments(0)
2017年 03月 05日
音程・和音表記法 / 和声学:旋法和声
音程・和音表記法

< 世界共通の表記法 >

  音程・和音表記法 p.16 〜 p.21


                 音程表記法
c0071789_09181441.gif

    音程記号:


                   集積音程和音表記法
c0071789_09184185.gif

    集積音程記号:


        集積音程をあらわす垂直に並べられたアラビア数字は、上から下に読むのが世界共
        通の読み方。

          譜例
             セヴン・フォー  ファイヴ・フォー
                            (通奏低音法の数字の読み方も同じ)

        和声にあらわれる変化音の表記に注意しなさい。第3小節の低音旋律のフラットは
        アラビア数字には表記されない。なぜなら、この表記は音程表記と同様、低音から
        の各構成音までの音程関係を記す方法であるから。


    [ N. B. ]

         集積音程による和音表記の注意
c0071789_14483114.jpg


    D1) p.44 にある完全5度・4度音程による集積音程を和音(縦に並べたアラビア数字:
       (8・5)で表記しなさい。


    p.19
和音表記法


    和音表記法について_に関する解説に注意。

           ・ 西洋において伝統的な3種の表記法
           ・ 西洋人が考案した記号を用いる理由
           ・ 調名は国際用語_英語名_を用いる

    ・本書においては、a. b. c. の和音表記を用いる。

    a. 通奏低音法:

        J.S.バッハ、モーツアルトの時代にはローマ数字による和音記号は考案されておら
       ず、また、ベートーヴェン時代にはG.ウェバー方式の和音記号は理論書では使用され
       ていても一般的には実用化されていなかった。いうまでもなく、機能理論もまだ存在
       
していない。つまり、機能理論は後世の人間が考えた和声の事象現象に対する解釈論
       であって、バロック、古典派およびロマン派の和声はその理論に基づいて創造された
       けではない。ちなみに、機能理論はラモーの和声論によってもまだ確立されておら
       ず、それはバッハの没後 150 年経ってあらわれた理論である。とはいえ、そうした
       理論がモーツァルト・ベートーヴェンが活躍した後の時代において構築されたもので
       あるとしても、機能理論は彼等の音楽的なカテゴリーについて何らかの示唆を与え得
       るものと考えられるが、当時の作曲家たちは、その時代に現存した音楽理論を身につ
       け創作活動をしていたはずである。史実によればプレトーリウス、ヘルプスト、シュ
       ペアー、ヴェルクマイスター、ニート、ハイニヒェン、マッテゾンなどの音楽教本に
       解説された通奏低音法が指し示す音程・和音感覚や伝統的な作曲技法をパートナーと
       して和声の新しい構造様式を考えていたのである。
        このアラビア数字による和音の表記法は、Max Schneider の著書<通奏低音およ
       びその数字付けの起源 (1918)>の中で 1600 年頃の楽曲に認められることが明らか
       にされている。西洋の古典的和声というバロックそして古典派和声の考察を始める前
       に、そういった音楽理論史に関わる基本的な常識をあらかじめ知っておこう。



    D1) つぎに記した通奏低音法を読みなさい。

         6  ♯  ♯6  ♭  ♭6  ♮

    D2) 例1の通奏低音法によって記された和音表記。
        
         

                ・
             エイト セヴン
             フラット_(トゥリー)  _( )は省略してもよい

                ・・・・・

             シャープ_フォー・トゥー
             スィックス
             シャープ_スィックス・フォー
                ・
             スィックス・ファイヴ・フラット_(トゥリー)

                ・・・・・
  
    D3) p.76〜p.78 の通奏低音法によって記された和音表記を読んでみよう。

    D4) セクションは異なるが、譜例 162. (p.315) の通奏低音法に注目。

    [ N. B. ]
 
         8), 9), 10)の表記内容はとくに重要

    例1 通奏低音法
c0071789_12545592.jpg
    [ N. B. ]

         アラビア数字や記号は低音部譜表の上段に表記



    b. 和音記号: p.18

c0071789_16363829.gif

         ローマ数字で和音の根音度と和音性質を示す記号
         低音部譜表の下段に表記

    Q) 西洋音楽の和音表記に適切な記号は?


          < わおんきごう 和音記号 Akkordbezeichnung [独]  

        和音の種類、位置、機能などを、文字、数字その他の記号によって表示するも
       の。通奏低音の数字による記譜、18世紀のゴットフリート・ヴェ−バー Gott-
       fried Weber(1779 -1839) による音度記号、リーマンによる和音記号や機能表
       記、ジャズなどにおけるコード・シンボルなどがこれに属する。低音の上または
       下に、その上に築かれるべき和音の音程を数字によって表示する通奏低音(数字
       付低音)法は、今日和声学の実習に用いられているが、最も一般的に用いられて
       いる方法は、ウェバーおよびリーマンの用法を簡略化して併用する方法である。
       (1) 調は、各音をドイツ語音名(または英語音名)で示し、長調短調はそれぞれ
       大文字、小文字で示す。(2) 和音の根音度を、ローマ数字で記し、アラビア数字
       によってその転回や七の和音、九の和音などを示す。(3) 必要に応じて、機能表
       記の最も簡単なもの(T,D,S ) によって和声の機能を示す。なお、ジャズのコー
       ド・シンボルは、音名に英語式音名を用い上記の方法をさらに簡略化したもので
       ある。ウェーバーによる方法では、和音の根音度を示すローマ数字は長三和音を
       大文字、短三和音を小文字で記すことによって区別し、増三和音には+印、減三
       和音には°印を付して区別する方法がとられている。        
                           ( 標準 音楽辞典 音楽之友社 )


 「大作曲家11人の和声法」のテキストにおいて、上記_西洋音楽理論の伝統的な音程・和音表記法である通奏低音法、ヨーロッパの和声学において最もよく用いられている_G.ウェーバー方式の和音記号、コードネーム、の3 種の方法を採用する理由は、西洋人の感性である古典和声を検証するには、その響きを創り出す西洋人自身が考案した和音記号・表記法を使用するのが極めて自然であると考えるからである。これらの表記の優れた点は、それぞれの記号が互いに「シンクロナイズ」されていることだ。また、それらは音程・和音構成と聴覚的性質が即座に判るように考案され、そうしたことから、和声史全領域に渡って広範な検証分析を可能にするものとしてまさに「世界共通の和音表記法」となっているのである。



< 和音の象徴機能 >

 現代の音楽理論家は、借用和音論に対して、そこには不可解な乱用が見い出されると指摘している。こうした混同は日本的形態の機能和声学にいたればさらに甚だしい。和音の概念規定についての伝統的な覚え書きでも、この点をめぐる機能理論の理論と論理に関する批判は継続される。その一例をあげてみよう。

    Q1) A minor : 旋律短音階の音階音を答えなさい。
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    [ N. B. 1 ]
 
          * 印の音階音も他の音階音と同様、旋律短音階の構成音 


    Q2) A minor : 旋律短音階に基づいた原和音(Primary Chord)を示しなさい。
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    [ N. B. 2 ]
 
        * 全ての和音(↑)は、旋律短音階に基づいた A minor に帰属する構成和音 


    Q3) ところで、変化記号の付いた*印の和音は他の調に属する和音であろうか?

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    [ N. B. 3 ]

       明らかに否である。これらの和音は「旋律短音階 A minorの調構造を表出するために
      必要な固有和音」であり、「他の調に属する和音という認識論」によって説明するよう
      なことは、その本質的核心を表わす属性を見失うであろう。したがって、それらを借用
      和音とする解釈は分析学的に和声の現実と結びつかない非論理的な概念化である。その
      ような和音解釈を指し示す概念的方向は、自然的・伝統的なものではなく人為的なもの
      にすぎないことを物語っている。ましてや人間の和音属性に関する具体的・現実的な認
      知体験にも当てはまらない。
       周知のように、*印の和音の象徴機能は、A minor を形成する1次的な要素として分
      析され、これを用いて独自の機能が発揮されている場合、西洋ではその全体的平面をシ
      ステムと呼び、弁証法的和声学において理論構築の基本的基準となるものである。



    Q4) では、それらをどのような和音記号で表記したらよいのか?

      ↑ [ ◆◆ ] 標準 音楽辞典 _ ウェーバー方式を基盤にした表記の例:
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 和音表記法は和音の概念とどのような関係をもつのかを考えれば、記号の意味は,常に対象との連関のうちに考案され,記号のもつ役割は、対象となるものを,別のもので認識する手段である。そして対象の同一性_そのものとしての帰属性_を前提としている。

      Aminor:終止和声の表出_旋律短音階を基盤とする構造特性
c0071789_12333676.gif

 和声学における和音の分析は音楽的な事実から分析に値する和音表記の選択を行うものである。和声が表出している調的構造特性を指し示すとするなら、*印の和音表記には、音階とそれに基づく和音の象徴機能に関する和音それぞれの意味づけが必要になる。要するに、意味づけとは「古典の和声分析全般(中世〜現代)にあてはまる対象の存在への志向」に他ならない。記号はそうした意味の担い手となり、対象の実体概念の本質を語り得るものとなって登場してくる。上記の例の和音表記が表わす意味を読みとると、西洋人が考案した和音記号とその表記法が感覚論的にも理論的にもいかに妥当なものであるかが分かる。


    [ N. B. 4 ]

           p.312 参照  a. 3和音

    D1) 上記のページに示された、上から自然短音階、和声短音階、そして旋律短音階それ
       ぞれを基盤とする原和音(固有和音)の同一音度上での性質を比較する。

            たとえば、 [Ⅳ] に関して

               自然短音階上では → Ⅳ
               和声短音階    → Ⅳ
               旋律短音階    →  ,  Ⅳ


    D2) p.334 演習1_1) の終止和声 、p.375 譜例 190. の冒頭部に注目。音組織_旋
       律短音階を基盤とする和音を捉えよう。
    D3) p.330 譜例 171. に表出されたA minor : の和声を考察し、D2) の和声が基盤と
       する音組織とは異なる要素によって形成されているシステムに注目。


 明らかに,こういった和音分析に用いられる記号がいかに洗練されているかは、分析を支えている基本的基準如何に関わっている。したがって、和音の借用的な解釈も、音組織を問題としない限り結局のところ和音の帰属性と象徴機能という実質的内実を曖昧にしてしまうことになる。特殊な和音解釈にしか通用しないような和音記号をつくるだけでは不十分なのである。それだけではなく、その分析原理が何であるかを明確にする必要がある。
 和声学とは古典がどのように機能しているかを認識しようとするものであり、また、考察と分析は耳で聴いて耳で理解するためにある。まさにその意味において、和音の表記は理論のためにだけあるのではなく、可能な限り創り手や、聴き手の立場に近い表記法に還元される必要があることは言うまでもない。



    c. コード・ネーム:

    Q) (  )m と (  )m-5 の和音性質の違いは何か?
    D) 枠外下の*の和音記譜法は、p.315 譜例 162. 第4小節。


    例2 和音記号
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         楽譜の下段に表記
         (アラビア)数字付き和音記号     音度変化記号



    例3 コード・ネーム
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         楽譜の上段に表記
         エフ ジー ジー ・シャープ・ マイナー・マイナス(フラット)ファイウ゛



    d. 音度記号:

    例4 音度記号
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         和音性質が表記されない和音表記
         すべてがローマ数字大文字で表示される




     和音の読み方  p.20

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    Q) 次の記号はどのように読むのだろうか?

         C Cm C7 Cdim CM7 Cm-5 C6 C add 2 C sus4

           Ⅱ  Ⅲ゜ ♯Ⅵ゜_大・小ローマ数字と( ゜)(♯)に注意

    D1) p.19 例2 に音度変化記号の付いた和音記号を読みなさい。
    D2) (アラビア)数字付き和音記号に注目。
    D3) p.19_例4_矢印の数字付き和音記号の読み方。  
    D4) p.72 〜 p.73 に記された和音表記を読みなさい。



     調名の読み方  p.21

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    D)  英式の調名「 A phrygian: 」「 C mixolydian: 」 を読めるようにしよう。



< 和音表記の問題点 >

 古典和声の世界は、私たちに事実を知らせようと話しかけはしない。話しかけるにしても、その事実は聴き取れるというふうに平明に話しかけるだけである。
 ここで、概念の特殊的性質の象徴である和音表記の問題を私たちは振り返ってみる必要があるだろう。古典和声の事象現象を映し出す和音記号が、その歴史性や構造性の置き忘れにとどまらず、そこに架空論理を併存させているとしたら、あるいは和音構成の成立にとって中心的意味をもっていないとしたら、研究の進んだ今日の理論体系において、世界共通の記号として受け入れられるような「アイデンティティ」は存在のしようがない。すでにその端緒においてさえ、ある奇妙なつくりごとが指摘されている。その「虚構性」については「和声学:総合_根音省略形和音という虚構 (http://proprius.exblog.jp/)」に要約してある。




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:16 |  音程・和音表記法 | Comments(0)
2017年 03月 05日
譜例および演習について / 和声学:旋法和声
譜例および演習について


  譜例および演習について p.21


            音楽と理論の関係
            和声の実行者は譜例
            和声感覚向上のための近道
            譜例は、すべて現代版の楽譜によるもの

 少し過去を振り返って考えてみれば、演習において譜例が大切などというのはごく当たりまえのことだ。いまさら騒ぎ立てるまでもない。
 あらゆる理論体系は人間の現実性によって概念定義されている。導音進行は人間の思考によって。和音配列は選択によって。並進行は感覚によって。段落と終止は時代的な志向によって。私たちが聴き興じているあらゆる大作曲家はそれぞれ、自分に備わった才能あふれる感覚器官を通じて和声環境の情報を入力している。その入力情報からひとつの和声イメージをつくりあげる。そしてその和声イメージにもとづいて実践を試み、音楽活動をしていたのだ。
 和声学も理論体系である以上、この事情にはまったく変わりはない。しかし、私たち日本人はこんな自明なことを約半世紀のあいだ忘れていたのだ。つまり、「分析と総合に依拠する和声学は、ルール依存の和声学とは違って、論理を重んじ人間的実現行為に基づいた存在である」というのが現代的な思考の本流なのである。
 和声学の論述において「譜例に立ち戻れ」と説く自然な考えは、まさに和声学のこの根本的な役割の変化をあらわすキーワードにほかならない。




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:15 |  譜例および演習について | Comments(0)
2017年 03月 05日
音程の和声 / 和声学:旋法和声
音程の和声


「音程の和声(9〜13世紀)」の要旨:



        和声構造の認識根拠となる歴史的経緯_

           自然発生
            9 世紀_オルガヌム_平行法による音程の和声_ムシカ・エンキリアディス
            11 〜 12 世紀_自由オルガヌム_垂直的な和声構成
            14 世紀_集積音程の和声素材_導音カデンツ
            15 世紀_ポリフォニーとフォモフォニーの対照的な和声構想
            16 世紀_教会調による旋法和声と半音階法和声_ 3 和音和声の誕生


 
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 中世・ルネッサンス音楽の概念となる「伝統的な旋法性と構造特性」は、つぎの時代のバロック_モンテヴェルディ、J.S. バッハ、ヴィヴァルディ、ヘンデル、古典派_モーツァルト、ベートーヴェン、そしてロマン派_ショパン、シューマン、ブラームス、印象派_ドビュッシー、ラヴェル、フォーレ、近代現代_レーガー、バルトーク、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーの音楽作品と深く関わる内容である。 
 つまり、18世紀音楽の和声様式はもちろん、それ以前・以降の様式に関する象徴化においても、まず和声の起源的現象_並進行(連続)音程の構成要素を知ることから出発する必要がある。また、現象の構成要素を知るための分析は確たる論理的構造の基盤となる。さらには、そういった私たちの思考と概念的方向に確かな「てだて」を与えてくれる20世紀の理論家が指し示す新しい理論と論理は、中世・ルネッサス・バロック音楽の還元的な分析から得られる概念そのものなのである。
 和声学とは、「表出の歴史的な経緯」と「象徴化を伴う全体構造の考察」であると言われてきたのもさほど昔のことではない。たとえば、西洋人自身が永い歳月をかけて編み出した音程・和音表記法、および論理的な言説に支えられた旋法概念に関わる認識基準は音楽理論の基本的知識であって、演習の、作曲の、あるいは和声学における実証的研究のイロハを意味するものにほかならない。



  1. 平行法 p.25


「 シンフォニー Symphonie 」

 中世の音楽理論書において、グレゴリオ聖歌を主声部とした完全協音程による各種の平行オルガヌムは、「シンフォニー(ある響きを合成したもの)Symphonies 」と呼ばれていた。
 シンプォニーとは、主声部(グレゴリオ聖歌 principal)の下方に完全4度,5度、8度音程を加えた「単音程の平行法」によってつくられる響き、および,それら3種の響きを組み合わせた複合型つまり完全4度と8度、5度と8度,そして8度と8度音程(15度)などの「複合音程の平行法」によってつくられる響きである。

c0071789_18371458.gif

            Principal _はグレゴリオ聖歌の旋律(主声部)
             Organal _は下方に付加された旋律(オルガヌム声部)

    Direction1) 変化音(♭)は、グレゴリア聖歌において、単聖歌の歌われ方のひとつとして、ドリア
           旋法の旋法性に存在した一般的な共通感覚を記したものといえる。
    D2) 譜例 24. p.38 にもそれと同じ変化記号の表示がある。
    D3) p.25 の「譜例 1.」と比較しなさい。


                    [ 完全協音程による平行法 ]
                         9世紀

    単音程の平行法:

    譜例
         
    1. 4 度音程

c0071789_12182884.gif
c0071789_20214027.jpg

           [ 和声法:完全協音程を用いたパラフォニー(単音程の平行法)]

c0071789_20214027.jpg

            上声が主声部
            4度音程 ( Diatessaron/ディアテッサロン、ダイアテサロン )

    D1) 左から3 番目の音符は現代の楽譜ではほとんど目にしないが、「2 全音符( tenuto,
       fermata の意味)」という。
    D2) 譜例の変化音は、歴史上に変ロ音のつぎに現れたものである。それは完全協音程を保
       持するために用いられたのであろう。


「 複合シンフォニー Composite Symphonie 」

 主声部の下にオルガヌム声部として完全4度・5度音程が加えられ、さらに主声部あるいはオルガヌム声部が8度音程で重複される。複合シンフォニー(3・4声)においては、主声( principal )が中声部に固定されることはなく、その形態は多様である。

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    2.  複合:(完全 4・8 度音程による平行法)

    D1) 複合オルガヌムの形態をいくつか示してある。 (譜例 4.も同様)

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            オルガヌム声部    主声部         主声部       オルガヌム声部
             主声部      オルガヌム声部     オルガヌム声部     主声部               オルガヌム声部   オルガヌム声部      主声部       オルガヌム声部                                  オルガヌム声部

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             [ 和声法:複合シンフォニー(複合音程の平行法)]

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    D2) 複合の方法が複数ある。矢印の方向。


    3. 5度音程

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            5度音程 ( Diapente/ディアペンテ、ダイアペンテ )


    4. 複合 :(完全 5・8 度音程による平行法)

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          複合の様相:

            8度音程
              5度音程
                低音
                 ‖
              読み方:エイト・ファイヴ (インターヴァル)

    D1) 同じ方法で、
 
          3 和音の和声で第 2 転回形の和音

              通奏低音法:

                 6
                 4
                 ‖
              読み方:スィックス・フォー (インターヴァル)である。



    D2) p.32 譜例 15.(12世紀)、およびp.47 譜例 32.( 15 世紀)を考察し、楽曲
       構成における各平行法の音程素材を比較しなさい。


    5. 8 度音程の複合

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         Double diapeson:
            8度音程( Diapason/ディアパーソン、ダイアペイズン )の複合


    D) 上記の完全音程名は、日本語名と( ギリシャ語名、英語名 )。


    6.

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            開始,段落,終止は同度
            自由な平行オルガヌム

    D1) 同度からはじまり同度で終止するまでの「音程の移り変わり」を捉える。
    D2) 段落・終止における低音進行は長2度,そしてユニゾンである。


  2. 初期の音程連結 p.26

                      [ 自由オルガヌム ]
                         11世紀
    譜例
         
    7.

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           前出の例とは異なり下声が主声部(グレゴリオ聖歌)

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           順次的および跳躍的な「1度の平行構造」

    D1) 段落・終止点に声部進行の特徴がある。
    D2) この和声には伝統的な平行法が継承されている。その部分を捉えてみよう。


    8.
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           タイのある箇所に注意

    Question1) Parallel Organum の構造がどう変化したのか?
    Q2) 主声部に対してオルガヌム声部は、どんな要素から構成されているのか?
    Q3) 開始点と終止点の音程に変化が現われるが、その構造はどのようなものか?


   音の高さを正確に表示する記譜法の考案は、和声的音程の特定を可能にする。従って、声部独立の創意は、正
  確な記譜法に依存していることはいうまでもない。
   オルガヌム声部は、主声部に対して反対の方向に進む反進行、あるいは、同音に止まる主声部に対して上・下
  行する斜進行によって、旋律的に独立する。また、・・・・・

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   開始点には、完全1度(同度)音程、中間部には、並・斜・反進行のもとですべての音程、音楽的に一つのま
  とまった単位を示す・・・・・


   3. オルガヌムにおける声部進行の比較 p.27


  平行オルガヌム
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  自由オルガヌム
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    D1) オルガヌムの3種の譜例を並べてある。下方に表示された楽語から個々の構造特性を
       捉えてみよう。
    D2) 最上段の4度音程の平行オルガヌムと下段の自由オルガヌムの声部進行の様相を比較
       すると、その違いが読みとれる。
    D3) どのような進行が加えられたのかを答えなさい。
    D4) これらの譜例から判るように、起源的な平行法オルガヌムが、単なる並進行から反進
       行と斜進行を伴う構造に移り行く変化は,「和声の多様化プロセスのはじまり」とい
       われる現象である。


  4. メリスマ作法 p.28

                  [ ポリフォニックな和声スタイル ]
                        12世紀

    譜例

    9.

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        下声が主声部(グレゴリオ聖歌)
        メリスマ作法による和声構造=メリスマ和声構造

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    D1) メリスマ和声構造、および保続される音とメリスマの音程関係を把握しなさい。
    D2) メリスマ作法には不確定ではあるが、リズムの存在が認められるという様相を譜例 9.
       の考察で確かめなさい。

    [ N. B. ]

         メリスマ性による楽句の単位は、20世紀音楽に盛んに創出された変拍子
         音楽の小節線と様相が合致する。

          参考曲:

          B. Bartók : Microkosmos_ Triads
                      Two-part Study

                      Free Variations
                       ↓
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              ⤵
            Basic:
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          I. Stravinsky : The Rite of Spring
                  Persephone
                  Symphonie en Ut

                  Les Noce
                   ↓
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          L. Dallapiccola : Parole di San Paolo
                   Volo di notte
                   Tre poemi


  5. 対照的和声法 p.29

    譜例

    10.


            メリスマ作法:p.28の説明
                ↑
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                ↓
            ディスカントゥス作法:p.29

        メリスマ作法とディスカントゥス作法との対照的和声構成

          下声(主声部)は、グレゴリア聖歌が引き延ばされた音価の大きい旋律である
          それは後世の,たとえばバロック・古典派の保続音を有する和声構造を思い起
          こさせる。

    ディスカントゥス和声構造

            開始点 〜 ディスカントゥス部分 〜 段落点 〜 終止点

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    D1) 下声がグレゴリオ聖歌の旋律。
    D2) 和声構成の音程的様相の変化を把握しなさい。
    D3) 段落点と終止点の「音程構造」は、後のバロック・古典派の和声にまで継承された技
       法である。

    [ N. B. ]

        この対照的和声法による音楽は、 とくに、18世紀古典派の作曲家_W.A.Mozart
        が関心をもって見つめていた表出概念

              _下巻 p.71 6. 対照的和声構成法

    D4) ディスカントゥス部分とメリスマ部分を比較するとその構造特性はどのように異なる
       のかを考察しなさい。


  6. リズム・モード p.30

    譜例

    11.

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          西洋の音楽理論においてはこの楽曲もオルガヌム

            大作曲家ぺロタンが表出した多様な和声構造:

              6 種のリズムモードとその組み合わせ
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    D1) 低声部の楽譜は転移記号(♭)が用いられている。
    D2) 和声素材となるリズム・モードの各パターンに注意。
    D3) 開始点と段落点に用いられる音程を指摘しなさい。
    D4) 上 2 声と下声との旋律的様相は対照的。
    D5) D3) の考察を踏まえ、上 2 声と下声とが対照的になるようにまとめた構成法を何と
       いうのか、答えなさい。
    D6) なぜこの音楽の楽曲名が “Organum” となるのか、その所以を考えてみよう。


  7. 和音的効果 p.31


                 [ ホモフォニックな和声スタイル ]
                       13世紀

    譜例

    12.

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        同一リズムで進行する3声:

         ⤵
       Basic:
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        他の例

        同一リズムで進行する2声:
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           音楽におけるポリフォニーとホモフォニーの両構造性は、どの時代にもど
          のような作曲家の作品にも存在した。その事実は、譜例 1.〜5.のオルガヌム
          が多様化していく歴史的過程、すなわち、

                譜例 6.〜9.  _ 平行法
                譜例 10.〜29. _ ディスカントゥス作法
                譜例 30.〜48. _ 協和的3度音程と3和音、フォ−ブルドン
                        ホモフォニー

          の実践的存在によっても判る。これらの構造認識は西洋の多くの音楽理論家
          に受け継がれ、実証的研究に携わる彼等は歴史に関わる決定的な世界観の相
          対的特質と結びついて,人間の自由の印である想像力とその可能性を、古典
          の認識根拠とその過程を問いながら、本質的な理論的基準および現実的かつ
          具体的な実体を見い出して行こうとしたのである。


    D1) ところで、教会旋法の推移 p.14 のイラストに示された、Homophonyに関わる事
       項(⇨)の意味を把握しておこう。


           中 世                |ルネッサンス     

            音程の和声    ⇨   音程と3和音の和声 ⇨      

              Polyphony ——————————————————————

         ⇨
    …………………………………………→ Homophony ————

              旋律を・・・            旋律的認識と・・・


    D2) 譜例 33. のオケゲムのホモフォニーによる和声法を確認しなさい。
    D3)  15 世紀_セルミズィ、フェスタの(譜例 47. 48. )」の分析が、ホモフォニーに
       関する歴史的な判断と切り離せないものであることをよく示している。
    D4)  話を戻そう。譜例 12. の「和音的効果による和声の萌芽」という13 世紀の独特な
       音楽書法タイプに注目しよう。

                      
  8. 不協音程 p.32

    譜例
    
    13.

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         不協音程作法:主拍部の不協7度音程

    14.
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         不協音程作法:主拍部の不協2度音程

            J.S.バッハは、この音程作法を頻繁に用いた。彼の和声法
            においてそれは「有効な象徴的機能性」のひとつ。

              バッハの和声における例:

                       p.326 _ 2)
                       譜例 167. 177. 185. ・・・>


    Q)  不協音程の構造はどのような目的のために用いられたのか?
    D)  つぎの項の協和音程の和声表出とは対照的である。古典和声の構成において、不協音
       程と協音程作法による構造特性はどちらも重要な要素となる。


  9. 協和的3度音程と3和音 p.32

                   [ 3度音程の平行法 ]
                      12世紀

    譜例

    15.

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            [ 和声法:長短3度音程を用いたパラフォニー]

               ・譜例 15._Gymel, Gimel, Gimell (Eng.) は双児の意味
                構造特性は3度音程による平行法である。

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    16. p.33
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    [ N. B. ]

        ・譜例 16._は現存する世界最古の英語の歌である。

         ベンジャミン・ブリテンは、合唱・独唱管弦楽のための作品「春の交響曲」
         の中でこの旋律を少年合唱に唱わせている。


  10. 13世紀までの終止法 p.34

        <2声体>_

          低音長2度上行

     Q) この終止法の低音進行と対照的な段落・終止法を確認しなさい。

     [ N. B. ]

         p.42〜p.44 低音2度下行
         p.51〜p.54 低音5度下行
 
        <3声体>_


     譜例


     17.

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     18.
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        終止法:Lydianにおける2重導音を伴う終止形


     p.35

     譜例
   
     19.

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        <6声体>_


     20.
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         終止和音:完全3和音構造


  11. 音程作法 p.36

     譜例

     21.


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          「開始点と終止点」の音程は一致する
          「中間部分」にはすべての音程が使用されるようになる
          長・短 3・6 度音程が「段落点」に現われる(譜例 23. 24.)



  12. 強拍部の 3・6 度音程 p.37

     譜例

     22.

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     23.

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     24.

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          長・短3度音程のあり方に特徴がある


  13. イソリズムとリズムの複雑化 p.39

     譜例

     25.

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     26.
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     27.

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          形式統一のためのリズム手法




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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:13 |  音程の和声 | Comments(0)
2017年 03月 05日
導音カデンツ / 和声学:旋法和声
導音カデンツ


  14. 段落・終止法 p.42


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            [ 和声法:段落・終止法 ]

               導音化

               導音和音と導音カデンツ
                 低音2度下行の導音カデンツ
               導音カデンツの転移

               2重導音和音と2重導音カデンツ
               2重導音カデンツの転移

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          段落・終止には、導音化の認識とその実践によって新たな諸和声表出
          が認められる。

     譜例

     28.


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     D) 譜例 28.の段落・終止法における各声部の音程構造を答え、とくにその低音進行を
       チェックしておこう。

     29.

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     Q) この前半の終止法は、14・15世紀の西ヨーロッパで広く用いられた終止である
       が、なんと呼ばれていたのか?  ヒントは作曲者名

      a. 導音化

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           導音_「四角枠」
           自然導音と導音化という2つの形態 p.43

      b. 導音和音と導音カデンツ

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           導音和音の和音性質の違い

             導音和音_「四角枠」

               Dorian: 減3和音
               Lydian: 短3和音
               Mixolydian: 減3和音
               Aeolian: 減3和音
               Ionian: 減3和音

     D) Phrygian : については解説を読みなさい。


       終止:低音2度下行のカデンツ p.44

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           終止和音は集積音程和音

             音程表記は無表記にしてあるが、通奏低音法で表記するとすれば、

                         8
                         5

             となる。通奏低音法の数字表記は、和音をあくまで各パート間のそ
             れぞれの音程の集積と考え、常に低音から数えての音程を記すから
             である。 p.16 集積音程表記法

    c. 導音カデンツの転移

       段落:転移導音カデンツ

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      D) 例を鍵盤上で演習しなさい。またLydian上においても同様に導音カデンツの転移
        を響かせなさい。

                    < 2 重導音カデンツ >

      d. 2 重導音和音と2 重導音カデンツ p.45

       終止:2 重導音カデンツ

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           2個の導音が垂直的に重なって現れる

     [ N. B. ]

           _p.53
              1個の導音


      e. 2 重導音カデンツの転移

       終止:転移2 重導音カデンツ

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     D) 2 重導音カデンツの実例は、p.47._譜例 31., 32._Dufayの合唱曲で検証。

           譜例 31._第5、8小節
           譜例 32._第4、12小節



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# by cantus-mollis | 2017-03-05 10:12 |   導音カデンツ | Comments(0)